Essay エッセイ
ナウサの伝統を守るワイナリー ― フンディ エステート
2022年5月20日(金)
Kelesidi Wineryを後にした私たちは、次の目的地である私たちのサプライヤー、フンディ エステートへ向かいました。
到着すると、ヨルギアさんが出迎えてくださいました。
フンディ エステートは家族経営のワイナリーです。
彼らのルーツは東トラキアのStantza村にあり、1914年、他の難民とともにナウサへ移住してきました。
その後、1930年にクシノマヴロの栽培を開始し、1970〜80年代にかけて畑の規模を拡大。
そして1992年に、現在のエステートが誕生しました。
この地域は地理的な特徴がはっきりしており、東側には平地が広がる一方、西側は標高が高くなっています。 その境界となるのがヴェルミオ山。
この山の傾斜に広がる畑は土壌が痩せており、気温も比較的冷涼です。 一方で日照量は十分に確保されており、さらに北風は山によってある程度遮られるため、過度に冷え込むことはありません。
これはクシノマヴロ100%で造られる辛口赤ワインを指し、この地域にとって非常に重要な原産地呼称です。 そのため、ナウサの畑の多くではクシノマヴロが栽培されています。
ただし、収量を増やせば品質は落ちてしまうため、高品質なワインを造るために、生産者たちはあえて収量を抑えた栽培を行っています。
ナウサPDOには、大きく分けて二つのスタイルがあります。
ひとつは伝統的なスタイル。
クシノマヴロ本来の特徴である高い酸と強いタンニンをしっかりと持ち、長期熟成を前提とした造りです。 そのため、数年間ワイナリーで熟成させてから出荷されます。
もうひとつはモダンなスタイル。
品種の個性を保ちながらも、よりフルーティーで、比較的早い段階から楽しめるように造られたワインです。
フンディ エステートが造っているのは、前者の伝統的なスタイルのPDOナウサ。
ボトリング後も約3年間ワイナリーで熟成させてから出荷するという、時間をかけたワイン造りを行っています。 セラーでは、クシノマヴロが樽の中で静かに熟成を重ねていました。
また、この地域ではヴェルミオ山から吹き抜ける風が常にあり、畑の風通しが非常に良い環境にあります。
そのため、カビなどの病害が発生しにくく、健全なブドウを育てることができるのも特徴の一つです。
ワイナリーでは、ヨルギアさんのお父様であるニコスさんにもお会いすることができました。
家族で守り続けてきた歴史と、それを今も引き継いでいる姿。 その空気感も含めて、とても穏やかで居心地の良いワイナリーでした。
















ナウサの畑と、クシノマヴロの風景